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【おまとめローンに注意して】メリット・デメリット 任意整理との違いを知ったうえで利用をお考え下さい  (更新日:2017.04.01)

『おまとめローン』とは・・・
 
複数の会社からの借入れを、ある会社からの借入れでもって全額一括返済をしてしまい、以後は借金を一本化したその会社のみに返済をしていくことをいいます。
 
複数の会社への返済に日々追われている債務者の方からすると非常に興味・関心を持たれることが多いようです。
 
ではおまとめローンは、本当にそれほど債務者の皆様にとって魅了的なサービスなのか、デメリットはないのかを考えてみます。後ほど説明しますが、私の個人的意見ではありますが「おまとめローン」はお勧めしません。
 
 
おまとめローンのメリット


 
返済管理が楽
 
複数の会社から借入れをされている場合には、毎月の返済を管理していくのも大変面倒です。その点が、借金を一本化すれば返済の管理も楽になり、返済をうっかり忘れてしまうことも少なくなるでしょう。
 
 
今までより金利が安くなることも
 
現在、昔より金利が安くなり住宅ローンの借り換えを薦める広告もよく目にしますが、借金についても借り換えして借金を一本化すれば、今までより低い金利になることがあります。もちろん金利が低くなれば、返済が楽になります。
 
 
以下は、現在返済中に過払い金請求を考えている場合について説明します。
 
 
信用情報への悪影響の可能性をなくしたうえで過払い金請求ができることも
 
現在も借金が残っていて債権者に返済をしているが、取引期間も長く、昔は金利も高かったので、もしかしたら借金が無くなり過払い金が戻ってくるのではないかと思っているが、信用情報への悪影響(いわゆるブラックリスト)が心配で手続きに踏み切れないという方がおられます。
 
確かに、現在も借金が残っていれば、確実に借金が無くなり過払い金が戻ってくるとはいえませんので、信用情報に不利益な情報が登録される可能瀬が全く無いとはいえません。
 
この点、たとえ取引履歴を業者から取り寄せて過払い金を計算してみて、借金が無くなり過払い金があったとしても安心はできません。というのも、業者にも様々な反論がありえますので、過払い金を素直に認めるとはいえませんので、絶対にブラックリストの心配はないとはいいきれないからです。(なお、借金を完済してしまっている場合の過払い金請求では、ブラックリストの心配はありません。)
 
そのため、信用情報への悪影響の可能性をなくして過払い金請求をしようとすれば、完済してしまう必要がでてきます。もちろん、貯蓄等自分のお金で完済できる余裕のある方であればいいのですが、それが難しいことも多いと思います。しかし、おまとめローンが利用できて、過払い金請求を考えている業者の借金することができれば、信用情報への悪影響の可能性をなくしたうえで過払い金請求ができることになります(但し、私は個人的には全く推奨しません。理由は後ほど説明します。)。
 
これだけ聞くと、おまとめローンにはメリットしかないのではないかと思われるかもしれません。しかしながら・・・
 
 
おまとめローンのデメリット


 
任意整理のように将来利息を免除してくれるわけではない
 
金利が今までよりも低くなる場合が多いとはいえ、任意整理のように将来利息を免除してくれるわけではないので、借金がなかなか減らず、借金問題の解決という意味では、思うほどには効果が上がらないのではないかと思います。
 
 
保証人をたてることや、自宅などの不動産があればそれを担保に入れることを求めてくることもある
 
任意整理であれば、おそらく交渉されているほとんどの専門家の先生は、保証人や不動産を担保に入れるような条件での和解交渉はされていないと思います。しかし、おまとめローンの場合には債権者から貸付する条件として保証人をたてることや、自宅などの不動産があればそれを担保に入れることを求めてくることもあると思います。もし、金利が低くなるとの誘惑に負けて、そのような条件を安易に受け入れて貸付を受けてしまうと、将来支払いを滞ってしまった場合に、ご自身のみならず保証人にも多大な不利益を与えることにもなりますし、大事な自宅を失うことにもなりかねません。
 
 
かえって負債を増大させてしまう原因に
 
おまとめローンを利用している方から借金問題の相談を受けることがしばしばありますが、その多くのケースで、おまとめローンを利用して借金を少しでも減らそうとしたにもかかわらず、おまとめローンでいったん完済した会社から、再度借入れをしてしまい、かえって負債を増大させてしまっていることがあります。
 
返済に追われてきた方の中には、万一の場合を考え手元に自由になるお金が無いと不安で、いわば保険のような感じで、おまとめローンを利用して完済した後でも、その完済した会社との契約を解約せずに、カードを持ち続けて、ついつい利用してしまう方がいます。また、業者も再度借入れするように顧客に勧誘(時には、以前よりも更に大きな借入れ枠を案内してくる場合もあるようです。)をしてくることもあります。
 
もちろん、その誘いや誘惑をきっぱりと断ち切れればいいのですが、なかなか難しいところもあるようです。
 
その点、任意整理であれば、カードの利用は停止させられますし、信用情報機関に登録されますので、新たに借り入れをすることも事実上難しくなり、負債をさらに増大させるというようなリスクも回避できるのではないかと思います。
 
 
将来返済が困難になった場合の解決手続きに影響も
 
おまとめローン利用後に、支払いが困難になり任意整理や自己破産や個人再生といった手続きを将来考えざるを得なくなることもあります。
 
ところで、個人再生の手続きについては、小規模個人再生手続給与所得者等再生手続という2つの方法があります。
 
ほとんどの方が返済負担が軽い小規模個人再生手続きを利用されています。
 
しかし、おまとめローンを利用された方の場合は、おまとめローンで借入をした債権者が総債務額の過半数を占める大口債権者となっているケースが多くあります。
 
 
小規模個人再生手続きでは、総債務額の過半数を占める債権者に手続きを反対されてしまうと再生手続きは廃止されてしまいます。
 
そのため、おまとめローンの性質上、おまとめローン会社が総債務額の過半数を占めている場合が多く、必ず反対するとはいえませんが、その大口債権者の反対のみで、小規模個人再生手続きが廃止に追い込まれてしまう事態が生じてしまいます。
 
そうなれば、返済負担がより大きくなる給与所得者等再生や任意整理を検討したり、返済計画が立たなければ自己破産を検討せざるを得なくなってしまうことがあります。
 
その意味で、おまとめローンを利用してしまったために、将来の借金問題解決のための方法が狭められてしまうこともありえます。
 
 
過払い金請求の面からみたデメリット


 
おまとめローンを利用して、既存の借金を完済した後に、完済した業者に対して過払い金の請求を行い、その結果直ちに過払い金を全額もれなく回収できるのであれば、それをおまとめローンの借入れの返済に充てれるので、おまとめローンを利用せずに借金を残した状態で直ちに任意整理を行なう場合と比較しても金銭的に不利益はあまりないかと思います。
 
しかし、実際は過払い金を必ず全額回収できるというわけではありません。なぜなら、業者も過払い金請求に対して様々な反論(例えば、分断・時効や延滞の発生など)や経営難などを訴えて過払い金の減額を必死に求めてくらからです。もちろん、業者の要望に応じる必要はありませんが、拒否して全額回収を目指すとなれば、裁判は避けられないことになります。ただ、裁判には費用(専門家にお支払いする報酬など)もかかりますので、仮に全額回収できたとしても、かかった費用の分だけ手元に残る過払い金が目減りすることになりますので、それだけおまとめローンへの返済に充てるお金が減ってしまうことになります。すなわち、おまとめローンの借金が減らせず、より多く残ってしまう可能性があります。さらに、もしも過払い金を請求しようとした会社が、破綻してしまうようなことが起これば、おまとめローンの借金が全額残ってしまうことにもなります。
 
 
少しイメージしにくいかもしれませんので、以下、具体例をあげて説明します。
 
(事例1)
業者から15年以上にわたって高利で借り入れを繰り返してきたが、現在もまだ約定で90万円の借金が残っているというケースで、法定金利で計算し直すと、90万円の借金が無くなり、むしろ10万円の過払い金が戻ってくるかもしれないという場合


 
・おまとめローン利用の場合
 
おまとめローンで90万円の借金をして完済すると、本当は支払う必要のなかった90万円と、もともと払い過ぎていた10万円を合わせた合計100万円を相手業者に払い過ぎてしまうことになります。もし、その100万円を全額回収でき、それでおまとめローンを返済できれば、手元に10万円残るので、不利益にはならないということになるでしょう。
 
しかし、話合いのみでは、ほとんどの業者は過払い金の減額を求めてくるので、過払い金を全額返金してもらうことは容易ではありません。もちろん、裁判を起こせば全額回収することができる場合もありますが、いずれにしろ専門家に依頼すれば費用もかかりますので、依頼者の手元に過払い金100万円が全額入ってくるということにはならないでしょう。
 
例えば、もし依頼者の手元に実際は80万円ほどしか入ってこなかったとしたら、おまとめローンを完済できず、10万円の借金を自力で返済しなければならなくなってしまいます。
 
更に、過払い金を請求しようとしていた会社が破綻して、過払い金がほとんど回収できなくなったような場合は、おまとめローンの90万円の借金だけが残ることになってしまいます。
 
 
・任意整理手続きをした場合
 
借金は完済になっていることを前提に、10万円の過払い金の返還を請求していくことになります。この場合も、業者は簡単には過払い金を全額返金してはくれないという点については、おまとめローンを利用した場合と変わりません。
 
しかし、完済してから90万円の過払い金の返還を請求する場合と比べれば、10万円の過払い金を請求する場合の方が請求金額も小さくなりますので、そもそも専門家に支払う報酬も少なくてすみます。また、過払い金の回収度合いによって、おまとめローンのような別途借金を背負うような心配も必要ありません。
 
仮に、過払い金を請求しようとした会社が破綻することがあっても、過払い金が戻ってこないだけで、別途借金だけが残るという最悪の事態は少なくとも避けることができます。
 
 
(事例2)
業者から15年以上にわたって高利で借り入れを繰り返してきたが、現在もまだ約定で90万円の借金が残っているというケースで、法定金利で計算をし直しても、90万円の借金の全ては無くならなかったが、債務が10万円までに圧縮されるかもしれないという場合


 
・おまとめローンを利用した場合
 
おまとめローンで90万円の借金をして完済すると、本当は10万円しか支払う必要がなかったのに、余計に80万円も相手業者に払い過ぎてしまうことになります。この場合も、業者は容易には過払い金80万円の全額を返金には応じてくれないでしょう。その結果、依頼者の手元に実際に入ってくる過払い金が少なくなればなるほど、おまとめローンへの返済に充てる金額が少なくなってしまいますので、その後の自力でのローンの返済負担も大きくなってしまいます。
 
更に、過払い金を請求しようとしていた会社が破綻して、過払い金がほとんど回収できなくなったような場合は、おまとめローンの90万円の借金だけが残ることになってしまいます。
 
 
・任意整理手続きをした場合
 
借金が10万円しかないことを前提に業者との間で返済方法について交渉することになります。この場合は、過払い金返還請求をする必要が無いので、専門家に依頼した場合でも、過払い金回収に伴う成功報酬についてはかからないことになります。また、おまとめローンのような別途借金を背負うような心配も必要ありません。
 
また、もし任意整理しようとした会社が破綻することがあっても、返還を受けるべき過払い金がそもそもありませんので、10万円の借金の返済のことだけを考えて交渉すればすむことになります。
 
更に、任意整理では将来利息をカットしたうえで、分割払いの交渉に応じてくれる会社も多いので、その意味でも非常にメリットは大きいと考えられます。
 
 
以上のように、おまとめローンには、メリットもあればデメリットもありますので、おまとめローンの利用を検討されている方は、任意整理も合わせて比較検討して頂けたらと思います。
 
なお、借金問題に長年取り組んできた司法書士である私としては、任意整理とおまとめローンのどちらがいいかと聞かれれば、信用情報機関への登録というデメリットはありますが、借金問題を本気で解決し、生活再建を図るという観点からすれは、やはり任意整理の方を一般的にはお勧めすると思います。
 
あさひ司法書士事務所
司法書士久保正道
 
 


 
あさひ司法書士事務所は、大阪を中心に主に近畿圏(大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山など)の方からのご相談・ご依頼をお受けしております。
 
過払い金請求任意整理を含む債務整理業務に特化して10年の司法書士久保正道が直接皆様の担当をさせて頂きます。
 
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