過払い金請求(完済済み)・債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)は家族や職場の会社に内緒・秘密にできるのか?
前回任意整理について紹介しましたが、今回は過払い金請求(完済済み)についてです。
なお、現在も借入れ中で、過払いの可能性があるものの、契約上の借金がまだ残っているという場合には、債権者の言い分(例えば、分断や時効や延滞金発生など)次第で過払いにならない可能性もありますので、任意整理のケースと同じように考えておく必要があると思います。
以下、事例をもとに直接的又は間接的に家族に知られてしまうかもしれないケースをご紹介します。
※なお、あくまで可能性であって必ず知られてしまうというわけではありませんのでご留意ください。
■【過払い金請求(完済済み)の場合】 ※直接的又は間接的に家族に知られてしまうかもしれないケース
(1)相手業者が、特定調停の申立てをしてきた場合
過払い金請求手続きをされている同業の先生が公開されているインターネットの情報によれば、過払い金請求を受けている相手業者が、裁判所に特定調停の申立てをしてくるケースがあるようです。
特定調停は、現状では債務(本件では、過払い金)の返済を続けていくことが難しい債務者(本件では、貸金業者)が、債権者(本件では、過払い金を請求する顧客)と返済方法などについて話し合って、生活や事業の建て直しを図るための手続きとして、民事調停の特例として定められたものです。
貸金業者が特定調停の申立てを起こすと、裁判所から原則本人の自宅に郵便が届きます。もし同居家族がその郵便を受取れば、家族が驚いて本人に事情を尋ねるかもしれません。
なお、たとえ専門家に依頼して過払い金請求の話合い中であったとしても、貸金業者が特定調停の申立てをすることは禁じられておりません。
※ちなみに司法書士久保は、担当した過払い金請求手続きにおいて相手業者から特定調停を起こされた経験は今のところありません。
(2)本人の借金の返済を親族が代わりにしていた場合
例えば、過去に内緒にしていた本人の借金が親族にバレて、親族が本人の借金を清算するために、お金を準備して本人に付き添って貸金業者の店頭で借金を全額完済してしまう。このようなケースがしばしばございます。
その場合、本人が後日過払い金を請求すると、相手貸金業者から、本人ではなく親族が返済したものだとして本人への過払い金返還を拒否してくることがあります。
理由は、もし本人に過払い金を返還して、後日親族からも過払い金の返還を求められたら、貸金業者は二重払いの危険を負いかねないと考えているからだと思います。
そのため、貸金業者は過払い金返還の和解条件として、その親族も当事者に含めた形での和解を求めてくることがあります。
そうなれば、過払い金請求をしている事情をその親族に説明して、その親族の同意を得る必要がでてきます。
もちろん、あくまで過払い金請求する権利は本人のみで、親族は関係ないと貸金業者と争うことはできます。しかし、あくまで相手が拒否する以上は話合いでは解決できませんので、その場合は裁判で争わざるを得なくなります。
■過払い金請求をしてもいないのに、過去に貸金業者から借入れがをしていたことが同居家族にバレてしまうかもしれないケース
相手業者が、破綻(自己破産・民事再生・会社更生など)した場合
会社更生:TFK(旧・武富士)、
破産:SFコーポレーション(旧・三和ファイナンス)、NISグループ(旧・ニッシン)、クラヴィス(旧・クォークローン)、栄光
民事再生:アエル(旧・日立信販)、丸和商事、クレディア(旧・フロックス)、
など数多くの貸金業者が事実上破綻し、裁判手続きを行っております。
裁判所でその手続きを進めていく過程で、破綻した貸金業者の債権債務の調査が行われます。ちなみに破綻した貸金業者にとって債務の大部分は過払い金ということが通常です。
そして、過払い金が発生している顧客がいれば、破たん処理手続きに必要な各種案内書類が本人の登録住所に郵送されます。
もし同居家族がその郵便を受取れば、家族が本人に事情を尋ねてくるかもしれません。
それを回避するには、過去に借入れしていた貸金業者が破綻した場合に、すぐに差し支えのない場所へ郵便物を送付してくれるように送付先の連絡・届出をしたり、郵便物の発送をしないように連絡・届出をする必要があります。その連絡先などは、業者のホームページで案内されることが多いので、そちらを参照されたらよいと思います。
ただ、貸金業者が破綻したことにすぐに気が付いて対応できるかどうかといえばなかなか難しいのではないかでしょうか、むしろ郵便で通知が届いて初めて知らされることの方が多いかもしれません。
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