最近、借金問題に関して、自分でで債権者と直接交渉して返済条件について和解をしようとされている方から助言を求められることが複数ありました。
確かに、専門家に依頼すれば費用がかかりますので、自分でしてみたいというお気持ちはわかりますが、思わぬ不利益を被らないためにも借金問題に詳しい専門の弁護士や司法書士に依頼して任意整理をしてもらうことを強くお勧めしたいところです。
なお、費用に関しては、利用には審査がありますが、法テラス(日本司法支援センター)の法律扶助制度を利用できる方であれば、通常より手続費用を抑えたり、費用を長期の分割払いにしてもらえたり(例えば、毎月3,000円程度)、費用の支払いを一定時期猶予してもらえる場合もありますので、法テラスの利用できる登録事務所をさがしてみることをお勧めします。
本来は、借金問題に取り組む事務所であれば、法テラスの登録をしてくれていればいいのですが、中には登録をせず法テラスを利用させてもらえない事務所もあるようなので、事務所選びの際にはお気をつけ下さい。
しかし、それでも個人的に債権者と直接交渉したいとお考えの方もいらっしゃると思いますので、少しでもリスクの軽減につながればということで、注意すべき事項を紹介します。
(もし、ご自身では難しいと感じられましたら、やはり専門家に相談される方をお勧めします。)
①債権者の主張する債務額が正しいのか?
取引期間が長い場合には、過去に利息制限法という法律で定められた上限金利を超える支払いをしている可能性があります。いわゆる『過払い』と言われるものです。
最近の金利をみると低い金利で返済しているので自分には関係ないと思われる方もいらっしゃいますが、昔はもっと高い金利で返済していたような気がすると思われる方は要注意です。
人によっては、債権者の示す約定残高から借金を減らせたり、逆に借金が無くなって払いすぎたお金(過払い金)が戻ってくるケースもあります。
ですので、和解をする前に、法律上認められる正確な借金の残額を把握するために取引履歴を債権者から取り寄せて、過去に過払いのあるような高金利の取引がなかったかを確認し、もしあれば必ず引き直し計算をしてみるようにしましょう。
なお、取引履歴をお持ちの方は、当事務所にご相談いただけましたら無料で引き直し計算をさせて頂きますので、ご希望の方は申し出てください。
あさひ司法書士事務所のブログ記事『取引履歴のチェックポイント』『取引履歴の見方に注意』も参照してみて下さい。
②和解書の内容に不利な記載はないか?その内容は?
ご自身で債権者と直接交渉して和解する場合に、債権者に和解書を作成してもらうことになると思います。
一般の方は見慣れない書類だと思いますので、記載されている内容をしっかり読んで理解するようにしましょう。もし分からないことがあれば債権者に必ず確認して下さい。
例えば、支払いが滞ってしまった場合の取り決め(過怠約款)はどうなっているか、将来利息の取り扱いはどうなっているか、和解金以外に借金の返済を求められることはないのかなど。
ちなみに、弁護士や司法書士が依頼を受けて任意整理をする場合には、将来利息をカットしてもらうことが多いと思いますが、個人的に交渉する場合には債権者から将来利息を求められたという声もお聞きしますのでご注意下さい。
また、和解書に署名・押印して債権者に返送してしまった後に、後日よく読んでいなかったので、そのような内容の和解だと思わなかったといって和解を無効にするのは、なかなか大変なのでご注意下さい。
なお、弁護士や司法書士に相談せず、過払い金の存在に気がつかないまま債権者と自ら分割弁済の和解をしてしまうケースがありますが、気が付いた後に過払い金請求をすると、和解をたてに債権者が過払い金の返還を拒否してくることがあります。その場合には、裁判で和解の有効性などをめぐって争わざるを得なくなってしまいます(勝敗いずれの裁判例も存在します)。
③長期滞納後(5年以上)の借金であれば交渉前に消滅時効の検討を!
5年以上の長期滞納している借金について債権者から督促の手紙が届いて、慌てて債権者に連絡を入れて返済方法について債権者と交渉・和解してしまうケースがあります。
5年以上の長期滞納している借金については、消滅時効を援用すれば借金の返済を免れる可能性がありますので、借金返済の交渉を相手業者とする前に時効の可否を検討して下さい。
本当は時効消滅を債権者に対して主張すれば借金の返済を免れられたのに、債権者と借金返済の交渉や和解をしてしまうと、消滅時効の主張が困難になることがあるので要注意です。
あさひ司法書士事務所
司法書士久保正道
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過払い金請求・任意整理を含む債務整理業務に特化して10年の司法書士久保正道が直接皆様の担当をさせて頂きます。他の事務所で依頼を断られてしまった方も遠慮なくご相談下さい。
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