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過払い金請求で損したくない!取引履歴を取得したらチェックすべき重要ポイントはこの3つ!  (更新日:2016.12.16)

■過払い金請求をすべく取引履歴を貸金業者から手に入れたら、まず皆さんは何に注目するでしょうか?
 
まずは、取引履歴をもとにして過払い金を計算する計算ソフト(これはネット上でも容易に見つけらると思います。)に貸付日、入金日、金額をコツコツ入力(入力ミスしないようにと神経をつかいますので、これが結構根気が要ります。)して、過払い金が○万円と出て一喜一憂される方も多いことでしょう。
 
でもちょと待って!! 落ち着いて以下に記載した3つのポイントもぜひ忘れず確認してみて下さい。あなたの計算した過払い金が、増減するかもしれませんよ。
 
 
(1)貸金業者と初めて取引を開始したときから(完済した分も含め)の全ての取引履歴がのっているか?
 
皆さんの中には、貸金業者は取引履歴の開示を請求すれば当然に全て開示してくるものだと思われているかもしれません。しかし、実際は必ずしもそういうわけではありません。
貸金業者によっては、取引の途中からの記録しか開示してこないケースがあります。だまされないように要注意です!特に取引が古い場合には、昔の記録が開示されていないことがよくあります。
ですので、もし貸金業者から取り寄せた取引記録をみて、取引開始時期が自分の記憶と一致してない場合には、必ず業者に当初からの全ての取引記録が開示がされているのかを確認することを忘れないようにしましょう。
 
【貸金業者の回答例】
 
①全ての取引記録を開示しているので、その他に取引はありません。
 
この場合は、本人の記憶違いの可能性が高いですが、もし納得いかなければ開示された取引より以前の日付のある資料(ATMの利用明細など)を探してみましょう。
 
②○年○月以降の記録は全て開示している。それ以前の記録は破棄されているため残っていない。そのため、開示した記録より以前の取引の有無はわからない、あるいは、開示した以前にも取引はあるようだが、取引内容(貸付額・返済額・年月日)は不明である。
 
この場合は、もし未開示の以前の取引も含めた過払い金を請求したとしても、貸金業者はその請求をほとんど認めません。そのため、以前の取引も含めた過払い金の返還を請求しようと思えば、基本的に裁判で争わざるを得なくなります。その際、以前の取引の存在や取引内容を裁判所に認めてもらう必要がありますので、過払い金を請求する方は、原則的に以前の取引の存在と内容について証明をしなければなりませんので、その対策や準備が必要となります。
 
 
(2)取引の途中で何度か完済するなどして、取引がなかった(貸付残高が0円)期間はあるか?
 
貸金業者は、途中完済して取引がなかった(貸付残高が0円)期間があると、いったん取引が終了したものとして、利息制限法に基づき過払い金を計算をする場合に、完済の前後を分けて個々に計算すべきと主張、いわゆる分断の主張をしてくることがよくあります。さらに、もし途中完済した時期から既に10年を経過していた場合は、過払い金の消滅時効を理由にして、過払い金の返還を一部拒否してくることも考えられます。
 
そのような取引があれば、完済した当時の状況を思い出したり、途中完済した当時の資料を確認するなどして反論(分断ではなく一連であること)に向けた準備をする必要があるでしょう。
 
なお、平成20年1月18日の最高裁判決が参考になると思います。すなわち、
 
第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合かどうかの判断材料として、上記最高裁判決は、
 
『第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情』を挙げております。
 
また途中完済した時期が、今から遡って10年を経過しそうな差し迫った時期にあると思われる方は、分断・時効により過払い金が時効消滅してしまう危険があります。過払い金請求をお急ぎになられた方がよいでしょう。
 
 
(3)取引中に延滞をしたことがなかったか?
 
もし延滞があると延滞した日以降は、完済するまでの全ての取引を利息制限法所定の延滞利率でもって過払い金の計算をすべきだと主張してくることがあります。
 
例えば、毎月10日払いだったが、12月10日の支払いを忘れていて12月12日に少し多め(2日分相当の利息を付けた金額)の支払いをした場合を考えてみましょう。
 
大部分の皆様は遅れた2日分の延滞利息をつけて余計に支払えば、その後は今までと同じ契約条件(返済日や通常金利)で分割での返済が続けられると考えると思います(相談者様に聞くとほとんど皆様が、このように理解されています)。
しかし、貸金業者は、遅れた日数分だけでなく、遅れた日以降のすべての取引に通常金利より高利な延滞金利が取引終了(完済)するまで適用されると主張してくることがあります。
もし、この主張が認められれば、過払い金が大幅に減り、場合によっては過払い金が0円ということもありえます。
 
裁判例には貸金業者の延滞を前提とした過払い金の計算方法を一切認めないケース、延滞した日数のみを考慮した過払い金の計算方法を採用するケース、延滞した日以降の全取引を延滞していることを前提に利息制限法所定の延滞利率でもって過払い金を計算するというケース、いずれの場合もございます。
 
そのため、取引中に延滞したことがあり、この争点が主張されそうな方は、決して安易に考えず延滞の主張に対する反論を十分に検討されることをお勧めします。
 
 


 
あさひ司法書士事務所は、大阪を中心に主に近畿圏(兵庫・京都・奈良・和歌山など)の方からのご相談・ご依頼をお受けしております。
 
過払い金請求・債務整理業務に特化して10年の実績経験をもつ司法書士久保正道が皆様の担当をさせて頂きます。
 
過払い金請求の相談はこちらへご連絡下さい。
 
なお、あさひ司法書士事務所に依頼頂いた場合には、取引履歴は当事務所で取寄せますので、相談者様で事前に準備して頂く必要はありませんのでご安心下さい。
 
 
あさひ司法書士事務所
司法書士久保正道
 
 
 

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